フレスコ画を語るときに外せない作品は、やはりミケランジェロ(1475-1564年)の制作による
システィーナ礼拝堂の天井画「天地創造」(1508-1512年)
と祭壇壁画「最後の審判」(1536-1541年)でしょう。
ミケランジェロのこのフレスコ画は盛期ルネサンスを代表する作品であり、フレスコ画の最高傑作と言われています。
1508年ミケランジェロは教皇ユリウス2世よりシスティーナ礼拝堂の天井画を描くよう命じられます。
ミケランジェロは「自分は彫刻家であり、画家ではない」と拒みますが、教皇の命令に従ったと言われています。
天井画は聖書の冒頭の「創世記」からの9つの場面が描かれており、中でも「アダムの創造」は有名です。
父なる神の指がアダムへ生命を吹き込む場面は、よく知られた場面です。
この天井画の制作は大変な重労働でした。
ミケランジェロは礼拝堂内に足場を組み、上を向いて首を曲げた格好で制作を続けたため首の骨が曲がり、
滴る絵具が目に落ちて視力を損なってしまったと言われています。
こうして、1512年までの4年間をかけて創世記をテーマにした「天地創造」の大フレスコ画は完成しました。
ミケランジェロが33歳から37歳の時の仕事です。
500年の時を経ても色褪せないフレスコ画の美しさは、ミケランジェロの力強い描線と彼の素晴らしい仕事を現代へ語り継いでいます。